「ウサギとカメ」の童話をご存知ですか?
「足が短くて遅いカメが油断したウサギを追い抜いたお話し」
そんな解釈をされている人が
一般的には多いようです。
私がこの童話からお伝えしたい事は
「ウサギとカメでは、見ている世界が違った」
という事です。
自信をなくす時ってどんな時ですか?
誰かや何かと比べて
・自分の負けが明白になったとき
・自分が劣っていると落ち込んだとき
・自分にはないものを持っていると悲観したとき
・自分にはできないと圧倒されたとき
・自分より幸せな人に嫉妬したとき
などなど
自信を喪失した経験は生きていれば誰でも一度はある事ですね。
その反対に
誰かや何かと比べて
・試験や試合や仕事の成果などで相手よりいい評価をされたとき
・自分の方が優れていると優越感を感じたとき
・自分は相手より色んな事を手にしていると満足感を感じたとき
・自分は相手よりできる事が多いと手応えを感じたとき
・自分は相手より幸せだと実感したとき
自信が増大したり安心感を感じたりエネルギーが湧いてきたりします。
私たちは家族という集合体の中で
子供の頃から養育者などに
兄弟や姉妹との比較
同級生やご近所の〇〇さん家の△△さんとの比較
学力や運動などを学校という集団の義務教育の中で
自然と人と比べる事を学び取り入れ
優劣を基準にしてきた側面があります。
受験や就職、スポーツなどは、まさに競争の世界です。
偏差値や倍率、勝ち負け、順位がつきます。
定員があり、指標があり、結果が明白に分かれます。
・学校や会社や団体などの組織が決めた定員に入れるように
・学校や会社や団体などの組織が決めた指標を上回るように
・ライバルや自分と同じくらいの能力を持つ何かに勝つために
そしてその結果として
誰かに「すごい」「さすが」「かっこいい」「きれい」「かわいい」
「頭がいい」「天才」「尊敬します」「憧れます」
「我が家の自慢の子供だ」などと家族や組織や社会的に認められることで
自信をつけていく側面があります。
誰かより優れることで価値を持ち居場所を得て生きてきた過去があるということです。
そこには誰かや何かに競争で勝ち、自信をつけ承認された経験があるとうことです。
ここで1つ質問です。
あなたは一生、誰かや何かに勝ち続け選ばれ続けられますか?
もし続けられるなら、この先の記事は読む必要がないです。
勝ち続ける事、選ばれ続ける事ができると思う人は
行き詰まりそうになった正念場の時、負けを感じそうになった時に
対象や環境を変え続け自分より劣っている人や団体に居場所を作る傾向があるからです。
向上心や成長欲、自分の可能性や活かし方よりも
誰かや何かに勝ち続ける事に意味があり勝つことに重きや正義があり
自信喪失する事を極端に避け
自分の本当に感じている感情や感覚を
心理学的に表現すると抑圧、合理化、逃避、補償などをして
必死に自分を守っている段階だからです。
また昇華がうまくいけば自信喪失する事なく居場所を他で得る事ができるからです。
その段階だとすれば、ここから先を読む時間が無駄になるかもしれない事をお伝えしておきます。
観ている世界や行動の動機づけが違うとは?
誰かや何かに勝ち続け選ばれ続けられないからこそ悩んでいる
誰かや何かと比べ続けているからこそ自信を失いかけているのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
ここで「ウサギとカメ」のお話しに戻ります。
ウサギの敗因って何だと思いますか。
ウサギはカメを見て
楽勝、余裕、安心、勝てると優越感を感じたからこそ
自信過剰になり、油断し、過信し、傲り、居眠りをしてしまったのです。
一方でカメはどうしてウサギを追い抜けたのでしょうか。
比較をすれば体の大きさも歩幅も脚力も速さも違います。
仮にウサギがカメと同じ歩みを続けていたら勝ち目などないに等しいです。
では何が違ったのでしょうか
カメはゴールを見据えて
自分を信じ、自分を励まし、自分の心から湧き出る目的に向けて
コツコツと着実に内的動機づけで安定的に歩みを続けたのです。
物理的な歩幅や脚力はウサギの方があります。
ですが
心理的な積み重ねはカメの方があったという事です。
ここで心理学的に解説をすると
まず動機づけには2種類あります。
外的動機づけ
と
内的動機づけ
すごく端的に2つの違いを表現すると
・外的動機づけ→目的:報酬や称賛 手段:行動
・内的動機づけ→目的:行動
このようになります。
ウサギとカメに当てはめると
ウサギ:外的動機づけ→報酬や称賛
カメ:内的動機づけ→やりがい、達成感、ゴールをすること
この違いとはいったいどこから生み出されるのか
それは
観ている世界、行動の動機づけの違いです。
ウサギはカメつまりは相手を見ていた
カメはゴールを見据えていた
・自分の外側を見て比較しながら
・自分の内側と対話しながら
そもそも観ている世界が違うので
歩みが違ったのです。
自信と何のつながりがあるのか?
相手や環境などの外側の比較や集団の構成要素に視点を合わせながら進むと
相手より優れているのか
所属集団に称賛や承認をしてもらえるのか
集団の中で自分は劣っていないのか
ここに関心や目的があると
人間は無意識にバランスを保とうとしたり
相手や集団と比較して自信を保とうとします。
所属集団の中で自分には到底勝てない相手や
自分の自信が保てないと認識したとき
落ち込み自信を失いかけます。
人によっては自信喪失をして立ち上がれなくなったり
一時的に気力が湧かなくなってしまったり
長期的な離脱を経験してしまう事があります。
長期的な離脱は自信をどんどん低下させ
次のチャンスを掴む事や
やりがいを見出すことが難しくなってしまうことすらあります。
だからこそ
ここで今までの自信のつけ方、保ち方を見直してみませんか?
自分の行動基準はどこにありますか?
相手を基準にプロセスや結果や成果を見て
自分の行動基準を判断していませんか?
例えば
自信を喪失しないために
・資格試験の勉強など同期の進捗を確認することで安心感を得たり
・自分より進んでいない相手を探して不安を払拭しようとしたり
・自分よりできる人を見て自分なんて無理と挑戦を諦めたり
・「すごい」や「さすが」と認めてもらうために猛烈に頑張ったけど褒められず落ち込んだり
相手を基準にしていると本来の目的を失いかけ
更には相手を基準にしているので
自信は一瞬のものだったり、一時的なものになってしまいます。
ウサギはカメを基準に自分の行動を決めていたのです。
自分より体が小さく脚力もないカメだから
少し休憩しても居眠りしても大丈夫だと過信をして油断をしてしまいました。
上下で優劣を判断して
自分より優れている人や組織だと思えば劣等感を感じ自信を失う
自分より劣っている人や組織だと思えば優越感を感じ自信過剰になる
これでは本当の自信などつきません。
ウサギがチーターと競争すると思いますか?
では、自信とはどのように積み重ねるものでしょうか。
本当の自信を持つ方法とは?
カメはゴールを見据えていた
この言葉の通り
カメは競争相手のウサギや山の高さや距離という環境に目を向けるのではなく
山頂にゴールする事を目的としてコツコツと進んでいたのです。
自分の行動基準は誰かや何かと比較するのではなく
自分の中にある内的動機づけ(目的=行動)が明確にあるからこそ
歩みを止めずコツコツと歩み続けることができたのです。
カメは1秒でも早くゴールをすること
そのために自分が今やるべきことは何かに集中していたのです。
ここで外的動機づけ(目的:報酬や称賛 手段:行動)だとすれば
体格差も明確で脚力も速さも勝るウサギを見ていたら
スタートからすぐに諦めていた可能性が高いです。
自信を積み重ねるとは、誰かや何かと比較するのではなく
今までの自分自身と比べて今の自分はどうなのか?
ここに観点をシフトしてみると自分の感じ方、捉え方が変わります。
優劣を基準にしていた場合
自分より優れた人などが選抜された環境では自信を失います。
例えば
学生なら
公立の小学校や中学校、高校で図工や美術が学年トップだったとします。
幼少期から周囲の人も称賛し認め自分は美術の才能があるのだと自信を持ち
美大へ進学してみたら、周囲は自分より優秀な人ばかりで
自信を喪失し大学へ行く意味すら、わからなくなってしまう学生もいます。
社会人なら
先輩や上司に「人当たりもいいし営業に向いている」と認められ
花形の営業部署に異例の大抜擢
自分も事務職の仕事がマンネリで刺激がなくつまらない状態だと感じていたので
異動を決意していざ異動してみると
営業部に所属してからは営業成績が伸び悩み
毎月の営業成績発表が苦痛となり、ついには会社に行くことも難しくなり求職をしてしまう
現実社会である話です。
比較対象は自分の外側だといつか潰れてしまう可能性があります。
ここで観点を変えて
「今までの自分」と「今の自分」にすることで見えてくるものがあります。
昨日の自分より今日の自分
1ヶ月前の自分より今日の自分
3ヶ月前の自分より今日の自分
半年前の自分より今日の自分
1年前の自分より今日の自分
3年前の自分より今日の自分
何かできることは必ず増えているし
何が不得意で何が得意で
不得意なところをどう補っていくのか
得意なところはどう伸ばしていくのか
自分自身の自己理解も進み
継続的に積み上げていけます。
つまり外側を見るのではなく
自分自身の成長にフォーカスをする
自分自身の特性やクセを理解する
自分が役立てること
自分以外の人にお任せすること
色んなことが自分でわかれば
落ち込むことが多少あったとしても
また積み上げられる
しなやかで柔軟な自信がつきます。
何かがあって一時的に
落ち込んだり
悩んだり
諦めそうになったりしたとしても
自分の中にある内的動機づけがあれば
ピンチもチャンスに変えられるかもしれないし
1年後3年後5年後10年後
自信は必ず積み重なっています。
折れることのない、しなやかな自信
自信とは一足跳びにワープしてつくものでも持てるものでもありません。
継続している過程で自分を信頼しついてくるものです。
あの時は大変だったけど頑張った自分がいたからこそ
今の自分がいて、積み重なった自信を噛み締めることができます。
それが例え他人から見たら小さなものだったとしても
そんな事は関係ありません。
自分を自分で信頼でき肯定できると
他者と比較してマウントをとっている人や
本当は怯えている人とは違う
自分自身の中から感じるパワーやエネルギーを信頼できます。
折れることのない、しなやかな自信
それこそが自己受容、自己信頼、自己肯定であり
自信へと繋がる確かな道です。
竹のようにしなやかに
自分を信じて進むと観える景色も視野も変わり
外的な要因に振り回されない軸ができます。
その軸を感じることができれば
あなたは必ず幸せを感じることも成功を手にすることもできますよ。